建築の記憶/東京都庭園美術館

■東京都庭園美術館(link)

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目黒にある、東京都美術館で行われている「建築の記憶」展に行って来た。






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建てられた地から動かすことのできない建築は、実際にそこを訪れない限り見ることはできません。また様々な理由により形を変えられてしまったり、時代の変化とともに失われてしまうこともあります。したがってわたしたちの建築体験の多くは写真によるものなのです。建築家の意図を的確に反映し、表現してくれる写真により、建築は多くの人々に共有され、歴史の中で普遍化されていきます。そして写真は、時として建築家自身も気づかなかった建築の新たな魅力を引き出してくれることもあります。
 展覧会には、記録として撮影された明治期の建築写真から、建築の魅力を独自の表現で切り取った現代の写真まで、約400点を7章構成によって展示します。竣工写真のみならず、構想段階である建築の模型を撮影した写真なども展示し、建築家の構想から現実化へのプロセスも紹介します。
 本展は、近現代の日本の建築を、同時代の写真家がどのようにとらえたかを辿りながら、建築史と写真史の変遷と接点を概観する試みです。これまで語られることのなかった建築と写真の関係を見据える視点を提示し、写真をとおして、それぞれの時代の建築に対する人々のイメージを検証します。

[展示構成] 1章:建築と写真との出会い/2章:近代建築へのまなざし/3章:建築史学構築のための写真/4章:写真がとらえたモダンの相貌/5章:写真家の目、建築家の仕事/6章:日本建築の美/7章:現代写真の建築

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渡辺義雄撮影
「前川國男設計/東京カテドラル指名コンペ応募案模型」
1962年 前川建築設計事務所蔵

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杉本博司「Church of the Light」
(安藤忠雄設計「光の教会」を撮影)
1997年
ObayashiCollection c Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

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横山松三郎撮影「旧江戸城写真帖」より
(北桔橋渡櫓門と岩岐多聞)
1871(明治4)年 社団法人霞会館蔵

----(以上、東京都庭園美術館公式HP内より抜粋)------------

本展覧会情報は、電車内の吊り広告で見かけ、是非とも観覧したいと、その日まかりこした訳であったが、思ったよりも盛況しており、しかも年齢層が若い。建築学科生らしき若者、デザイン系らしき若い女の子3人組、等々。

この庭園美術館は、美術館として建築された建物ではないが、旧朝香宮邸だけあって、建築物としての美術的価値が非常に高い建物であり、内装のアールデコ様式の作品群も、その装飾用途のままに内覧出来る点においても、絶対に一度は訪れてみるべき建築物である。

建築物を見る楽しみとは、実際にその建築物を訪れ体感することが、一番の楽しみではあるのだが、写真という限られた空間に切り取られたそれを見るのも確かに一興であった。展示写真に登場した建築物を実際に目にした事があるものは、代々木の総合室内競技場くらいしかなかったが、肉眼では見る事の難しい角度からの撮影、竣工以前の模型としての段階の記録など、体感からは得られない視線を得ることにより、自らが獲得し得ない感覚を楽しむ事が出来る。

私の写真に対する楽しみ方といえば、時間として切り取られた雰囲気を楽しむこと。誰しもが普段見慣れているものなどを、撮影者固有の感覚による表現としての世界を楽しむこと、であるが、この展示会に於いては、意外と後者を非常に楽しめた。記録としての写真ではあるが、それを記録する意味と、交わることが物理的に不可能である撮影者により切り取られた視点を思いながら鑑賞し、とても感慨深いものを得る事ができ、今後の建築物鑑賞に新しい視点を加えることが出来た様に思った。

この展示を楽しむことが出来たのは、庭園美術館ならではと感じたところで、美術館としての構造ではない空間があったからこそだと思う。2次元的に限りのある展示空間と、頭上高によって閉塞感を感じることもなく、美術館とは違った醸造されたゆっくりとした時間の流れる空間。

久しぶりに上等な時間を過ごす事ができて、非常に満悦に浸った一日だった。
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